あのフェルメールの作品が、10点展示されるということで、かなり人気のイベントとなっています(展示の時期や場所によってズレがあり、一度に見られるのは最大で8点です)。
今回は、行ってみたレポートを通して、混雑の状況から、内部の様子まで、詳しく紹介していきます。
最後には、今回のフェルメール展をより楽しむための「3つ」のポイントも紹介したいと思います。
単に見るだけでも十分満喫できると思いますが、このポイントを抑えることでさらに楽しめること間違いなしなので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。
実況レポート
それでは、さっそく当日のレポートをお伝えしていきます。
入場の方法と当日の混み具合は?
今回の「フェルメール展」は混雑対策として、「日時指定入場制」が取られています。
前売り券購入の際に、来場する日時を決めて、鑑賞するシステムです。
今回の東京開催に行く場合、まず、2018年10月5日(金) ~ 2019年2月3日(日)から、行く日を決めます。続いて、下記の時間帯から来場する時間を決めてます。そして、決めた日時で前売り券を買うわけです。
- ① 9:30~10:30
- ② 11:00~12:30
- ③ 13:00~14:30
- ④ 15:00~16:30
- ⑤ 17:00~18:30
- ⑥ 19:00~20:00
※日によっては、カットされている枠もあります。とくに⑥枠がない日はところどころあります。
※その時間帯しか鑑賞できないわけではなく、あくまで入場ができる時間帯を制限するだけです。
※購入後の払い戻しや日時変更はできないので、チケット購入の際は必ず行ける日時で取るようにしましょう。
アヒルちゃんの場合は、「10月9日(火) ④ 15:00~16:30」で前売り券を購入していました。
各時間帯で入場できる人数が制限されるため、「大混雑でちゃんと鑑賞ができない」ということがなくなり、じっくりフェルメールの作品を堪能できるわけです。
ただ、アヒルちゃんが当日ツイッターなどをチェックしたところ、「日時指定入場制」でも、結構混んでいて、すぐに入れないという情報を入手。
どうも、各時間帯の開場時間直後だと、来場する人が集中しているみたい。場合によっては30分くらい待つこともあるんだって。
と思ったアヒルちゃんは、開場時刻の15:00ではなく、16:00前くらいに行くことにしました。
その結果、全然並ばずに入れました。
一切、待ち時間はなく、係員さんにチケット見せたら、そのまま館内に誘導されました。よかった、よかった♪
内部の様子と混み具合は?
今回の展覧会では、全部で約50点の作品が展示され、そのうちフェルメールの作品は10点あります。
「フェルメール展」とありますが、全作品フェルメールなわけではないですよ(もともとフェルメールは作品の数が他の画家よりもかなり少なく、世界中に現存しているのは40点弱しかありません。なので、全部フェルメールにするなんて無理なんですよね)。
フェルメールの作品が10点あると言いましたが、来場する日と開催場所によって、見られる数と作品が異なりますので注意してください。
作品名 | 東京 (10月5日~2月3日) | 大阪 (2月16日~5月12日) |
マルタとマリアの家のキリスト | 〇 | 〇 |
手紙を書く婦人と召使い | 〇 | 〇 |
手紙を書く女 | 〇 | 〇 |
リュートを調弦する女 | 〇 | 〇 |
牛乳を注ぐ女 | 〇 | × |
真珠の首飾りの女 | 〇 | × |
ワイングラス | 〇 | × |
赤い帽子の女 | △(初日から12月20日まで) | × |
取り持ち女 | △(1月9日から最終日まで) | 〇 |
恋文 | × | 〇 |
と思うかもしれません。
そのためか、大阪は入場料が「一般:1800円」と、東京の「一般:2500円」より安くなっています。
さて、館内に入り、受付をパスすると、すぐ二階に上がります。
今回のフェルメール展では、全作品が下記の6つの部屋に分かれて展示されています。
- オランダ人との出会い:肖像画
- 遠い昔の物語:神話画と宗教画
- 戸外の画家たち:風景画
- 命なき者の美:静物画
- 日々の生活:風俗画
- 光と影:フェルメール
フェルメールの作品は6番目「光と影:フェルメール」の部屋にまとめて置かれています。
1番目から5番目の部屋には、フェルメールの作品はありません。
ハブリエル・メツー、ピーテル・デ・ホーホ、ヤン・ステーンなど、フェルメールと同時期にオランダで活躍した画家の作品が展示されています。17世紀オランダの絵画を楽しむことができます。
なお、1番目から5番目の部屋では、人は多いものの、そこまで大混雑しているという感じではありませんでした。
正直、
なんて心配していましたが、きちんと配慮されていてよかったです。
そして、5番目の部屋を抜けると、階段を降り1階へ。いよいよ最後のフェルメール・ルームです。
ちなみにこの部屋だけ、ほかの5つの部屋よりも気温が低くくなっていました。冷え性の女性は羽織りなど、防寒になるものを持っていった方がいいかもしれないです。
さて、ここのフェルメールの部屋では、8つのフェルメール作品が、一同に会しています。
まさに圧巻でした。
この部屋はさすがにほかの部屋よりも入場者の数が多く、それなりに混雑していました。
それでも、「激混みで全然動けない」というレベルではないです。
一番人が多かったのは、『牛乳を注ぐ女』でしたが、それもそこまで待つという感じではなく、端から並んでも2~3分で最前列真ん中まで来れました。
フェルメール・ルームを抜けたら、音声ガイドの機械を返し、ミュージアムショップに出ます。
ちなみに鑑賞にかかったトータルの時間は、1時間31分でした。15時47分に入って、17時18分に出ました。
アヒルちゃんが感動した作品
ここでは、アヒルちゃんがビビっときた作品を紹介します。
『手紙を書く男』
フェルメール以外の作品で、アヒルちゃんが気に入ったのが、メツーの『手紙を書く男』です。。
じつは、この作品は以前から知っていて、今回フェルメール展で出てくると知って、楽しみにしていた作品。
写真とかで見ていたときから、きれいな作品だなーと思っていたけど、やっぱり実物もすごかった。
今回、展示されている作品の中でも、フェルメールっぽい雰囲気のある絵なので、フェルメール好きなら、初めて見る人でも感動するんじゃないでしょうか。
『牛乳を注ぐ女』
フェルメール作品は、どの作品もいいと思いましたが、その中でもアヒルちゃん的には、やはり『牛乳を注ぐ女』に感動。
元から好きな作品で、今回の展示の中でも、1番楽しみにしていた作品。
構図がいいし、作品全体の雰囲気が大好き。
当時の生活をたんたんと表現しているけど、過剰な生活感や悲壮感が出ていないところがいい。
また、細部に目を向けると、光の表現が本当にキレイで、これはいままで写真で見てきた『牛乳を注ぐ女』とは大違いだった。
もちろん、ほかの作品もよかったので、あなたもぜひ直接足を運んでみてほしいです。
「フェルメール展」のその他の部分
その他の感想としては、通常の展覧会よりも、ちょっと気前がいいなーと思った。
まず、音声ガイドが無料でした。
ほかの展覧会では、有料で貸し出していることが多いのですが、今回は無料で入場者全員に配っていました。
こんな機械とイヤホンで、ボタンを押すと、作品の解説をしてくれます。
しかも音声は、あの女優の石原さとみさんがやっています。
また、展示作品を紹介したブックレットがついていました。
ほかの展覧会だと、A4の薄い紙4ページとかにまとめられていることが多いんだけど、今回はちゃんとした冊子。
フェルメールブルーにかけているのか、カバーも青い!
さすが、入場料が高い(一般2,500円)だけあって、こういったトコにもお金かけているんだなーと思った。
ちなみに、 10月14(日)までの前売日時指定券を買った方限定で、「特製マグネット付ブックマーク(非売品)」がもらえます。こんなやつね。
これは正直、本当にオマケレベルだけどね(笑)
できるだけゆったり鑑賞するには
さて、ここまで読んで、きっとあなたも「フェルメール展」に行ってみたくなったはず!!(断言)
もし、なっていないなら、もう一度冒頭からこの記事を読み直しなさい(笑)
チケットを購入するときは日時選びがポイント
行きたくなったら、まずはチケット購入ですが、混まずにゆっくり鑑賞するためには、ポイントがあります。
まず、上でお伝えしたとおり、「フェルメール展」では、「日時指定入場制」なので、前もって入場する日時を決めておかなければなりません。
その日時を決める際、おすすめしたいのが、
という方法。
行きたい時間よりも、「30分だけ早めに入場できるなら」という条件は付きますが、30分早められるなら、1つ前の枠でチケットを取りましょう。
そして、当日は、取った時間帯の中で、遅い時間に入ってください。
なぜ、この方法がいいかというと、各時間枠の最初(開場時刻直後)は人が多く並ぶ傾向にあります。そして、時間が経つに連れて、人が減っていきます。
なので、この例の場合でも、19時直後に行くよりも、18時30分前ごろに行った方が、空いている可能性が高いのです。
チケットの時間帯は1コマ分前ですが、実質的には30分早いだけですので、もし調整が効くなら、この方法はおすすめです。
実際、アヒルちゃんも今回は「15:00~16:30」でチケットを取りましたが、入場したのは16時前です。
おかげで、全然並ばず入ることができました。
中に入っても、そこまで混雑せず、ゆっくり鑑賞できたのは、このおかげかなと思います。
なお、今回の「日時指定入場制」は、退場時間の制限はありません。
あくまで「入場する時間」を制限するだけであって、退場はいつしてもいいのです。
なので、16時30分前、18時30分前など、入場時間ギリギリで入っても、好きなだけ中にいることができ、鑑賞時間が減るということはありません。
じつは当日券もある
なお、今回のフェルメール展は「日時指定入場制」を謳っているので、必ず前売り券を買わないと入れないと思うかもしれませんが、じつは当日券もあります。
「前売り券が完売していない時間帯があれば」という条件付きですが、要するに入場者数に余裕があれば、当日でも入ることが可能ということです。
当日の状況は、公式ツイッターで情報が出ています。当日、急に時間ができて行ってみたいと思ったら、チェックしてみてください。
フェルメール展を楽しむ3つのポイント
ぜひ、参考にしてみてください。
【ポイント1】予習しておこう
まず、今回展示される作品について、簡単に予習しておきましょう。
下記の記事でも紹介していますが、事前にその作品の知識があった方が、より楽しめるんではないかと思います(もちろん、予備知識なしのフラットな状態で見るのもいいとは思いますが…)。
たしかにフェルメールの作品は宗教画がほとんどないので(今回の「フェルメール展」でも1点のみ)、予備知識なしでも、比較的わかりやすいかと思います。
(宗教画は、聖書についてある程度知らないと、理解しにくいです)
それでも、見る作品についてある程度情報を知っておくと、より深く楽しめるんですよね。
なので、事前に予習をしておくことをおすすめいたします。
今回、「フェルメール展」に合わせて、いくつかフェルメール関連の書籍が発売されていますが、その中でもよかったのが『フェルメール会議』という書籍です。
今回の「フェルメール展」で展示される作品の詳しい解説はもちろんのこと、当時のフェルメールが生きたオランダの情報なども紹介されており、その絵を書いた背景などもわかるようになっています。
【ポイント2】単眼鏡でフェルメールの光の表現力を実感しよう
2つめのコツは、ズバリ「単眼鏡」です。
双眼鏡の片目バージョンのようなもので、下記の記事でも紹介しています。
単眼鏡を使うと、肉眼ではどんなに近づいても見えない細部まではっきり見ることができます。
フェルメールといえば、光の使い方が有名ですよね?
単眼鏡を通すと、それもどのように表現されているか、よりはっきり見ることができ、フェルメールのすごさを実感できます。
ぜひ、繊細な光の粒の表現を見てほしいと思います。
今回、アヒルちゃんが特に単眼鏡を使って見てほしいと思ったのが、下記の作品です。
『牛乳を注ぐ女』
アヒルちゃんの大好きな作品。構図などもすばらしいので、肉眼で全体を眺めていただくのはもちろんですが、ぜひ単眼鏡でも見てほしい。
とくに、絵の左下にあるパン。
細かい描写がすごくて、本当に驚きました。
鑑賞したあとミュージアムショップ(関連グッズ売り場)で、『牛乳を注ぐ女』の複製画などを買おうかなと思っていましたが、単眼鏡を通して見た実際の描写とあまりに違いすぎて止めてしまったくらい、すごかったです、笑。
『手紙を書く女』
こちらは、テーブルの上の真珠、女性が身につけているリボン・イヤリング、椅子の鋲など、光っているところを見てください。
光の魔術師と言われるフェルメールのすごさが、より実感できます。
「野うさぎと狩りの獲物(ヤン・ウェーニクス)」
こちらはフェルメールではなく、ヤン・ウェーニクスという画家の作品。
この作品は全然知らなかったんですが、めっちゃリアルな絵です。
いい作品というより、きれいな作品という感じ。
とくにすごいのが、見てわかるとおり、うさぎの描写。写真で見てもリアルですよねー。
もちろん、生で見るともっとすごいです。
そして、単眼鏡でみると、さらにすごいです!
うさぎの毛先の描き方とか、「これ本当に人間の手で書いたの?」と思えるくらい細かいです。
ぜひ、単眼鏡で見てほしい作品です。
【ポイント3】フェルメール同士で比較してみよう
最後のポイントが「フェルメールの各作品を比較しよう」ということです。
今回の「フェルメール展」では、フェルメールの作品が1つの部屋で見られます。
なので、ぜひ各作品同士を見比べてほしいと思います。
というのも、作品によって、結構タッチが違っていたり、また描かれた時期によっても感じが変わっています。
今回、展示されている作品の中で、一番古いのは、「マルタとマリアの家のキリスト」(1654-1655年頃)。
もっとも新しいのは「手紙を書く夫人と召使い」(1670-1671年頃)です。
フェルメールは、晩年になるに連れて、光の見せ方、細部の描写が雑になり、平坦な印象を受けるようになってきたと言われているので、その辺をチェックしてみるのも面白いかもしれません。
また、『手紙を書く女』『リュートを調弦する女性』『真珠の首飾りの女』では、同じ黄色の上着が出てきます。
この上着は、フェルメールのお気に入りの一品だったらしく、フェルメール作品はではよくでてきます。
今回は3作品を見られるので、それぞれを見比べてみるのも面白いかもしれないですね。