
前回の記事で、「スマートな奢り方ができる5つのポイント」を紹介しました。
今回は、それを踏まえて、「やっていけない! 奢り方の失敗例」を紹介したいと思います。
これは、実際にアヒルちゃんが、先輩から奢ってもらったエピソードです。
奢ってもらったこと自体は、とてもうれしかったんですが、その奢り方があまりに悪く、アヒルちゃん自身、反面教師としているエピソードです(先輩、すいませんっ)。
あなたにも同じようなことをしてほしくないので、今回あえて紹介したいと思います。
奢りベタ1人目 栗山さん
これはアヒルちゃんが23歳頃の話です。
当時、アヒルちゃんはある会社で、バイトスタッフとして働いていました。
その時に、先輩としてよく一緒に働いていた「栗山さん」という方が、今回の主役になります。
この栗山さんに、ある日ご飯を奢ってもらうことになったのですが、その時の奢り方が、あまりに良くなかったため、印象に残っています。
当時の人間関係と状況
実際の話をする前に、その時の状況をまず説明します。
登場人物は3人です。
酒井さん | 30才。会社の正社員。仕事を振ってくれる人。立場上、一番偉い人。 |
栗山さん | 26才。現場で一緒に働く先輩。バイト。今回奢ってくれた人。 |
アヒルちゃん | 23才。バイト。 |
栗山さんとアヒルちゃんは、その企業のバイトスタッフでした。
その会社の業務をいろいろサポートしたり、手伝ったりする仕事です。
そして酒井さんは、我々バイトスタッフに「〇日にこういう仕事があるから、▽▽に行って、□□の作業をして。」と仕事を振ってくれる方でした。
私も栗山さんも、よく酒井さんに仕事を振ってもらっていました。
そういった形なので、実際の現場では、それほど酒井さんとは接する機会はありませんでした。
一方、栗山さんとは、よく現場が同じで、一緒に働くことが多い状態でした。
ある日、事務整理で3人一緒に作業をする
そしてある日のことです。
正社員の酒井さんから電話がありました。
と答えて、当日、仕事に行きました。
当日会社に行くと、先輩である栗山さんもいました。
そして酒井さんが現れ、
こうして、3人で一緒に会社内の書類を整理する作業が始まりました。
作業自体は難しいものではなかったので、淡々と3人とも作業を進めて行きましたが、量が多かったので、午前中が終わっても作業はまだまだ残っている状態でした。
そこで酒井さんが、
と言ってきました。
そこで、3人で近くの蕎麦屋に行くことにしました。酒井さんの行きつけのお店です。
そして、3人それぞれ自分の好きなものを注文して、食事をしました。
食事中は、3人ともたわいもない話をして楽しく過ごしました。
そして、昼休みもそろそろ終わりということになり、店を出ることになりました。
お会計のときに事件は起きる!?
お会計は、最初に酒井さんが行きました。
続いて、その後ろに栗山さんが並び、その後ろにアヒルちゃんが並ぶという状態でした。
とお会計を済ませて、栗山さんの番になりました。
ところが、店員さんが、
と言ったとき、栗山さんは突如驚くことを言います。
アヒルちゃんのことを指さし、
それまで「奢るよ」という話もなく、いきなり言われたので、アヒルちゃんもびっくりしました。
普通であれば、先輩からの奢りだし、それほど高い金額でもないので、素直に「ありがとうございます」と先輩の好意を受け取ればいいはずです。
しかし、この時はちょっと状況がよくない……。
栗山さんとアヒルちゃんの他にもう一人、一番の先輩格に当たる酒井さんがいるわけです。
酒井さんの立場からすると、自分が割り勘で済ませたのに、後輩格の人間(栗山さん)が一番下の後輩(アヒルちゃん)に奢るというのは、かなり気まずい感じがするはずです。
そんな思いを持ったはずです。
実際、酒井さんの顔をチラッと見ましたが、何とも言えない顔をしていたのを覚えています。
栗山さんとしては、 あくまでアヒルちゃんのことを思って、親切で奢ってくれようとしているのはわかります。
ただ、酒井さんのことまで、意識が回っていない感じでした。
そのためアヒルちゃんは咄嗟に、
そう思いました。
そこで、
と、遠慮しました。
すると当然ですが、栗山さんは、
と言ってきます。
普通であれば、ここで後輩であるアヒルちゃんが折れて、素直に奢ってもらい、先輩の顔を立てるのが正解でしょう。
しかし、栗山さんの顔を立てると、酒井さんの顔が立たなくなる。
一方、酒井さんの顔を立てようとすると、栗山さんの顔が立たなくなる。
ある意味、どう転んでも正解はないのですが、とりあえずここは、一番先輩格である酒井さんの顔を立てた方がいいと判断しました。
(栗山さんには後で、「酒井さんがいたため、遠慮させていただきました。気持ちはめちゃめちゃ嬉しかったです」的な謝罪をするつもりでした)
ですので
となり、さすがのアヒルちゃんも、これ以上抵抗できず。
結局、栗山さんに奢ってもらうことになりました。
普段であれば、先輩に奢ってもらうということは、とっても嬉しいことです。
お金の事はもちろんですが、わざわざ奢ってくれるって言うことは、それだけ自分のことを気にかけてくれているわけですから、気持ち的にもうれしいです。本当に感謝です。
しかし、このときばかりはさすがに、
と、心の中で、叫んでしまいました。
栗山さん自体は、本当にいい先輩で、面倒見も良かったのですが、たまにこういった感じで周りの空気が読めない時があり、このときもそれが出てしまったという感じです。
お店を出てから、会社に戻るまでの間、3人の空気が重かったのは、言うまでもありません。
気をつけるポイント
奢りベタ2人目 鷲尾さん
続いてのエピソードは、上の栗山さんのエピソードから、数年後、また別の会社での話です。
「鷲尾さん」という方から、奢ってもらった時の話です。
当時の人間関係と状況
また、先に登場人物とそれぞれの状況を説明しておきます。
鷲尾さん | 30才。別の部署のバイトリーダー。今回奢ってくれた人。 |
進藤さん | 26才。バイト。アヒルちゃんと同じ部署の同期。女性。 |
アヒルちゃん | 27才。バイト。 |
この時の会社は、スタッフ同士がすごい仲がよくって、よくバイトリーダーとバイト同士が一緒に飲んだりしていました(さらに、その上の社員さんも参加したりしてました)。
また、違う部署とも仲が良くて、他の部署のバイトさんやバイトリーダー達とも飲んだりしていました。
鷲尾さんは、アヒルちゃんとは別の部署のバイトリーダーをしていて、仕事上の付き合いはまったくない人でした。
ただ、アヒルちゃんの部署のバイトリーダーが、鷲尾さんとバイトリーダー同士で仲が良かったんです。
そのため、飲みの席でも鷲尾さんと同席することがあり、よく一緒に飲んでいました。
めずらしく鷲尾さんから誘われた
そんなある日のことです。
アヒルちゃんの携帯に、鷲尾さんから連絡が入ります。
と誘われました。
鷲尾さんとは連絡先を交換していましたが、あまりやり取りをすることはありませんでした。
また鷲尾さん自身、あまり自分から誘うタイプじゃなかったので、ちょっと珍しいなと思いました。
ただ、特にその日に予定はなかったので、
と答えて、飲みに行くことになりました。
そして当日、日中仕事をしている時に、仕事仲間の進藤さんに「鷲尾さんと飲みに行くこと」を話したら、
と言いました。
進藤さんもアヒルちゃんがよく一緒に飲む相手で、鷲尾さんとも何度か飲んだことがある人です。
なので、
と言いました。
鷲尾さんに「進藤さんが行く」旨をメールで伝えて、 仕事が終わったあと、待ち合わせ場所の駅の改札口に集まりました。
鷲尾さんと会い、鷲尾さんの案内でお店に行くことになりましたが、その道中で鷲尾さんが
と言い出しました。
一瞬、アヒルちゃんと進藤さんは、「えっ!」と驚きました。
なぜかと言うと、普段は大人数で飲んでいるせいか、誰かが奢るということはなく、いつも割り勘だったからです。
もちろん、これまで鷲尾さんから、奢ってもらったこともありません。初めてのことです。
進藤さんにとっても初めてのことなので、アヒルちゃんと進藤さんは、二人して固まってしまいました。
一応
とは、返しましたが、
鷲尾さんの意思は固く、
と、譲りません。
結局、二人とも鷲尾さんの好意に甘えることにしましたが、正直この時、
と思いました。
リーダーなので、うちらよりは給料がいいと言っても、所詮はアルバイトです。
そんなにお金をもらってるわけではないので、「二人に奢るというのは大変だろうなあ」と恐縮してしまいました。
ただ、この時に感じた恐縮さは、この後起こることに比べたら、実は全然たいしたことではありませんでした。
この後、アヒルちゃんと進藤さんは、予想もしなかった出来事に遭遇します。
連れていかれたお店は「キャッシュ・オン・デリバリー」
そして、いよいよ鷲尾さんが行ってみたいと言っていたお店に着きました。
そのお店はアイリッシュパブのようなお店で、外国の映画などに出てくるバーや酒場をイメージしたお店でした。
当時、外国映画が好きだったアヒルちゃんは、
と、テンションが上がります。
一緒に来た進藤さんも同じような感じでした。
しかし、席について、あることに気がつき、そのテンションが真っ逆さまに落ちることになります。
実はこのお店、お金の支払い方法が、「キャッシュ・オン・デリバリー」のお店だったんです。
日本の居酒屋・レストランでは馴染みはないものの、外国のバーなどでは珍しくなく、特に問題のあるシステムではありません。
このお店もアイリッシュパプをイメージしたお店だったので、キャッシュ・オン・デリバリーにしたのでしょう。
しかし、こと誰かが誰かに奢る場合、このシステムは最悪のシステムに変貌します。
想像するとわかると思いますが、何かドリンクやつまみを注文するときは、お金を持ってカウンターに行き、そこで支払いをしなければなりません。
そのため、もし奢りの場合は、
- 奢られる人は、奢ってくれる人に注文したいものを伝えて、奢ってくれる人がカウンターに行って注文をする。
- 奢られる人が奢ってくれる人からお金をもらって、カウンターに行き、注文をする。戻ってきたらお釣りを返す。
というどちらかの方法を取らなければなりません。
前者は、奢ってくれる人をパシリ扱いすることになりますし、後者であれば、奢られる方はお金をそのまま手渡されるので、かなり心理的な負担があります。
こちらの記事でも書いた通り、奢るときというのはできるだけ、支払っているところを見せない、お金を見せないというのがポイントです。
fa-arrow-circle-right 奢るときはできるだけ本人の前で行わない
それなのに、ここでは支払いを見せないどころか、そのお金を当人に渡してしまうので、奢られる方としては、恐縮することこの上ないわけです。
そのため、最初に店員さんからこのシステムを聞いた時は、めちゃくちゃ泣きそうになりました。
おそらく一緒にいた進藤さんも、同じ気持ちだったでしょう。
そして、おそらく鷲尾さん自体も、このことを想定していなかったと思います。
この二つの気持ちがあっただけで、それを掛け合わせるとどうなるかまでは、たぶん想像していなかったと思います。
お店に来て、初めて気がついたことでしょう。
なので、この時三人とも、「めっちゃ、気まずい………」という不思議な意思統一がされていました(笑)
結局、先輩をパシリに使うわけにいかないので、オーダーしたいときは、アヒルちゃん・進藤さんが鷲尾さんからお金をもらって、カウンターに行くという形をとりました。
もちろん二人とも気まずいので、そうそうオーダーする気にはなりません。
ドリンクもできるだけ減らないように、二人してちびちび飲んでいました(笑)
仕事帰りなので、お腹も減っていましたが、食事にもほとんど手をつけず(笑)
ただ、そうは言ってもまったく頼まないわけにはいかないですし、鷲尾さんも遠慮なく食べてほしいと思っているので、
と言ってきます。
なので何回か千円札をもらって、ドリンクのおかわりやつまみを頼んだりしましたが、本当につらかったです(爆)
結局2時間もたたないうちに店を出て、お開きとなりました。
※いつもはだいたい3~4時間は飲んでいました。
鷲尾さんと別れる時はちゃんとお礼を言いましたが、お互いに気まずい空気だけが流れました。
その後、進藤さんと二人で飲み直したのは言うまでもありません。
後にも先にも、これより精神的に大変だった奢られ方はなかったです。
気をつけるポイント
奢り下手にならないためには、シミュレーションが重要
2つのエピソードとも、アヒルちゃんが若かりし頃、実際に体験した話です。
どちらも気持ちはありがたかったんですが、本当に気まずい思いをした体験談です。
いまでも忘れずに、強烈に記憶に残っているくらいですからね。
ただ、うっかりするとアヒルちゃんも含め、誰でも似たようなミスはやらかしてしまうと思うので、今回の話があなたの参考になればうれしいです。
ここから学べることとしては、奢る前に奢ったときのことを、具体的にイメージする。
つまり、シミュレーションしておくことだと思います。
飲みはじめから、お開きまでの間を時系列で、
- 仕事終わりに〇〇のお店で、待ち合わせする。
- オーダー時に「奢る」ことを言う。自分が先にオーダーする。
- 食事中は食事を楽しむ。お金の話はしない。
- 会計時は先にレジに行き、会計をしてしまう。
- 相手が「お金は?」と聞いてきたら、「今日はおれが誘ったから出すよ」と言う。
など、各シーンを具体的にイメージするんです。